これは2018年に書かれた記事です。現在とは異なる点もあるでしょうし、決して鵜呑みにしないようにお願いします。
今回は、自分の大学1年生の生活を振り返ってみようと思います。リクエストいただいたので。
理一で、成績は中の上くらいでした
合格〜入学
合格した後は正直ホッとした感じ。
とりあえず1年近く走り抜けて、休む暇もなかったので、何も考えずにだらだら過ごしたかったです。東京を離れ、地元に戻って、友達と馬鹿騒ぎするか、実家の猫ちゃんと戯れるか。それしかしてません。
浪人時代に書いてたブログは色々更新してたかな。これまでお世話になった分、感謝と報告というこで。
その時は僕のブログは1500~3000pv/日くらいでした。文章しかないような読みにくいブログだったんですけどね。
読者の方からいろんなメールもいただきました。息子が東大を受けたという母親の方とか、アフリカで働いている方とか(メールでお仕事の話とか色々聞かせていただきました、貴重な体験に感謝しています)、これから浪人を考えている医学部志望の方とか。
顔は知らないけど、僕が1年間ブログを続けたおかげで出会えた人と交流していました。
本は読んでたかな。浪人時代に安部公房にハマってて、文庫本で出されてるやつは多分全部読んだと思う。
あとはツムツムとか、ゲームを永遠にやってましたね。(これから東大生になるというのに、何をやってんだか)
東大のことは、まぁ東大に行ってから考えても遅くないだろう。と。
3月末くらいから、1年生は色々とめんどくさいイベントに参加することになります。
テント列という、脱出に2時間〜5時間かかるサークル新歓祭りもあったし、オリ合宿という、同じクラスになった人(全員初対面です)となぜか1泊2日の旅行にいくイベントとか。(初対面の人間と旅行ってなかなかハードル高めですよね)とにかく3月末〜4月頭のあたりは、忙しすぎて何かを考えるような暇はなかったです。
サークル新歓のタダメシは積極的に参加すること。
1Sセメスター(4月〜7月)
4/5に授業が始まるのですが、東大生はこの時まだ入学式をしていません。(入学式は4/12でした)
教員も困惑する105分授業。8:30スタートの一限。つらい日々が始まります。
この辺から「進振り(進学選択?)」という名の完全な情報戦が始まります。受験よりも運要素が強くなってるのがタチ悪いよね。情報戦を耐え抜くために、twitterや逆評定、先輩の情報、クラスで情報強そうなやつなど、使えるリソースを限界まで広げ、フル活用しましょう。
地方から進学した人間は特に、積極的に都内進学校のネットワークの深くに入り込むことが大事です。同年代だけでなく先輩にも頼ってみましょう。
進振りの厳しさについて書いてみます。例えば、理科I類から医学部に進学するには、2017年の情報によると91.2点というラインをクリアする必要があります。この点数は、履修した科目の100点満点での重み付き平均です。さらに東大の前期課程での成績評価は基本的に相対評価になるので、いい成績を取るには「東大生の中で上位にいる」必要があります。
ぶっちゃけ努力である程度なんとかなるんですが、東大受験を乗り越えてきた猛者たちですよ。彼らに勝たないと良い成績を取れない。想像を絶する天才もいたりして、劣等感を感じることも少なくありません。そんな中で高得点を取ることは精神的にも結構しんどいです。
評価自体も教員がつけるものなので、厳しい教員に当たれば厳しい評価しかこないし、先生に左右されるところがかなり大きいです。
「優3割規定」なんていう(ふざけた)ルールもあります。これは、成績評価が「優」つまり80点以上の人数を、履修者全体の3割以下にする必要があるという縛りです。つまり、どんなに得意な科目でも、全体の上位3割に入っていないと良い評価を得ることはできないというものです。進振りがあるために点数が死ぬほど重要で、こういう制度があるために「好きな科目より得点期待のできる科目」という優先順位になりがちというか、ならざるを得ないような現状になってしまっています。
また、「一度単位を取得した科目は再履修することができない」というルールもあります。つまり、中途半端に必修で50点とかとって単位を取得しちゃうと、後になって取り返しのつかないことになってしまい、学校に入り直すくらいしか挽回する手段ねぇんじゃねえかっていう状況になります。
当たり前なんですが、東大に入ると周りには東大生しかいなくなります。東大生の基準が当たり前になる、ある意味恐ろしい、異常な環境に身を投じることになります。
そんな中で、「行きたい学部に行くには、80点くらい必要なのか…こいつらに勝たないといけないのか…」などと、劣等感を感じる東大生は少なくありません。受かった直後の全能感はもはや微塵もありません。
僕も「勉強では絶対に勝てない相手が目の前にいるんだ」と悟った瞬間でした
話を戻しましょう。多少は皆さんの役に立てるような情報を書きたいと思っているので、科目ごとに僕がやってたこととかを中心にしながら書いていこうかなと思います。僕の記憶も曖昧になってきているのですが、理一のこの時期はとにかく大学でいっぱいいっぱいな感じでした。
駒場では受けたい科目が自由に受けられるとかおっしゃってますが、理系は必修科目のオンパレードで、1年生は好きな科目に時間を割くことができないのがフツーです。それでも要領が良い人間が多いので、皆それなりにこなせちゃうんですけどね。
英語一列
英文と日本語訳を覚えれば試験を突破できます。(平常点とかない限り)暗記ゲーです。教員によっては、文章を要約してプレゼンさせられたりツラい感じの授業にもなり得ます。どうせ試験受けるんだから、試験一発のほうが楽です。
試験は基本的に、教科書の英文がまるまる出されて、そこから問題が出されます(問題文とかも英語ですがまぁ大したことないので身構えなくて良いです)
割り切ってひたすら頭に詰め込みましょう。教科書の文章はまぁまぁ面白いんですけどね。。
教科書は2種類あって、2年周期で使いまわしているっぽいです。
僕は1(赤い方)を使っていたので、おそらく今の1年生は2(青い方)を使っていますね。東大受験生は暇つぶしに読んでみると、東大に入って役立つことがあるかもしれないですね。
ALESS
「あれす」と読みます。1年生を死ぬほど苦しめる科目です。
大学に入ったばかり、普通は学術論文なんて見たこともないようなド素人が、いきなり慣れない英語で論文を書くという内容の授業です。先生は日本語を話せない場合が多いので、英語で頑張るしかありません。帰国子女がクラスにいると、そいつが無双するせいで何もわからない時間を過ごすことになります。(ここは後述するFLOWも同様)
理系っぽいテーマ決めて、先行研究を調べて、自分なりの新規性を持った実験をして、論文書いてプレゼンする。というここまでの流れを13回の授業で完結させます(ちょうど今の時期は1年生が実験しているんじゃないでしょうかね)
まぁそれなりに得られるものもあるような気がするので、真面目にコツコツ頑張るしかありません。つらい時はtwitterで 「#ALESSつらい」とかつけて呟けば、きっと誰かが見てくれます。
ALESSでやる実験は複雑なものにしないこと。4月に実験を考えた自分を本気で殺したくなってしまうので。頑張らなくて良いところは頑張らなくて良いんです。巨人の肩に乗っかって、そこにほんのちょっとだけ肩パットを添えてあげる程度のもので全然OKです。
鬼のような課題量に苦しめられますが、コツコツ地道に頑張りましょう。溜めると死にます。
空気がネガティブになってきたのでこの辺でそれっぽい写真でも見ておきましょう。
ちなみに秋以降になるとこの通りは銀杏臭すぎて24時間スメハラ状態になります
FLOW
「ふろー」と読みます。ALESS がライティングの授業なら FLOW はスピーキングの授業です。内容は講師によって違いますが、トピックについて調べて、発表して、ディスカッションしてればなんとかなります。
課題では英語で自撮りしたビデオを先生に送ります。東大生が YouTuber の気持ちを知る瞬間ですね。たまに駒場キャンパスのど真ん中で自撮りしながら何か喋っている人間がいますが、彼らは FLOW の課題に苦しめられているだけなのです。気がおかしくなったわけではないので、どうかそっとしておいてあげてください。
個人的には ALESS よりつらかったです。先生に一回ブチ切れられたんですが、英語が聞き取れなくて何言ってるか全くわからなかったのを思い出します。
Oh…しか言えませんでした。とりあえず謝罪メール送れば優しく教えてくれます。
こうなる前に、わからないことはわからないと言いましょう。帰国子女がいるなら頼りましょう。4月のFLOWのレベル選択で見栄を張るのはやめましょう。
英語中級
これも多くの人が受けるのではないでしょうか。必修じゃなかったような気がしますが、ほぼ必修みたいなもんなので、黙って周りについていって受けましょう。
授業内容は完全に教員によります。僕がとった英語中級だと、ひたすら世界史の文献を読む授業(ただただ眠かった、寝てた)と、ひたすらプレゼンとかディベートとかする授業の2つでしたね。後者は個人的には楽しかったです。先生が「僕らは英語をそこまで理解できない」という前提で授業を進めてくれたので。でも不思議と前者の方が成績は高くついているんですね…
第二外国語
クラス分けの基準になりますね。僕はスペイン語をとったのでスペイン語について書きます。
まず、コツコツやりましょう。溜めると死にます。そういう意味では出席点とかあった方が、強制力が働くし良いのかもね。
東大の新歓周りでは「スペイン語は簡単」みたいな話を聞きますが、正確には「スペイン語は(発音が)簡単」です。発音はめちゃ簡単です。だってアクセントの位置も決まってるし、アルファベットみたいなもんだもん。1日あれば基本的にスペイン語の文章を読むことはできると思います。意味は分かりませんが。
他の言語も同じかも知れませんが、英語と比較してスペイン語の動詞の活用は結構覚えるのがしんどいです。1つの動詞について、現在形だけで人称で6つの変化、それが直接法現在、点過去、線過去、未来、過去未来、接続法現在、過去、命令形とか、もう無限に変化していくので…しかも不規則動詞の数エグいから…コツコツ丸暗記していくしか方法はありません。幸い、僕は試験が簡単だったのでなんとかなりましたが。
スペイン語の歌とか聴きながらだと結構簡単に覚えられますよ。歌の効果はまじで絶大。
(発音が)簡単なおかげで、僕みたいな情弱とウェイが多くなります。クラスの雰囲気は明るめになりがちです。東大の中ではウェイクラスになりがちですね。「スペウェイ」とか言われてますよね。
数学
S1ターム(5月まで)では、「数理科学基礎」という東大が独自に作ったよく分からない授業を受けます。正直なんのために存在しているものなのか理解できません。その後、基本的に数学の授業は「線形代数」と「微分積分」に分かれていきます。途中から繋がってくるんだけどね。
イプシロン-デルタ論法とか行列とか偏微分とか見慣れないものがたくさん出てきますが、慣れればどれも大したことないです。分かっちゃえば楽しい世界なので頑張りましょう。牛腸先生のプリントとかやればしっかり得点取れると思います。授業も分からない人間に合わせて進んでいき、普通に分かりやすいので苦手な方はぜひ取ってみてください。
Sセメの数学の内容はそこまで難しいわけではないので、なんだかんだイケます。逆にここでつまづいたら危機感を感じた方がいいです。
力学・熱力学
力学に関しては苑田さんの授業とかとってた人間ならそこまで勉強する必要はないです。新しい知識はほとんどないです。回転運動とかはちょっと詳しめになるけど、ゆうて大したことないです。
高校物理以前で理解に不安がある人、数式と現象がいまいち結びついてない人はとにかく、教科書を読んで、実際に手を動かしてみる。数式の意味を考える。とか、そういうところから地道に頑張ってみると、できるようになるし、面白くもなると思いますよ。
調子に乗ってランダウとか買わずに、図書館でファインマン物理学とかから読んでみてください。
熱力学に関しては、高校までとはちょっと雰囲気が変わってくるような気がします。新しい概念が若干出てくるので、頑張って理解しましょう。
どの科目にも言えますが、教員の過去問を入手できるなら過去問を死ぬほどやりましょう。意外とそのまま出たりします。だから情報戦って言われるんです。
情報
正直何やったかそこまで覚えてないんですけど…教科書読んでサラッと理解すれば試験はなんとかなると思います。パソコン強い人は簡単に優が取れます。きっと。
スポ身
楽しく遊べば得点がきます。逆評定と先輩の情報から、得点が取れる楽そうな教員を見定めましょう。
初年次ゼミナール
好きな人は好きなやつです。物理の数式とか調べて発表したり、実際に何かを製作してみたり、独自性の高い授業の中から選んで履修する、少人数の授業です。
基礎統計
準必修ですね。僕はこの時期にとりました。
統計は大事です。必修にしてもいいんじゃないかっていうレベルで必要な授業であることは間違い無いんですが、このクソ忙しい時期に履修するのも微妙なので、2年生で取るのもアリです(僕は1年生でとって点数低かったので後悔してます)
科学史
総合科目ですが、科学史自体が個人的に面白かったです。神みたいなシケプリ(試験対策プリント。東大生が作成する)もあるので利用しましょう。「ワトソン科学史」で検索。
夏休み
大学生の夏休みは長いです。春休みも死ぬほど長いんですが。基本的には旅行とかバイトとか、好きなこと・やりたいことに明け暮れていればいいと思います。
まだインターンとかはしてないです。時給5000円くらいでカテキョーやってました。楽しかった。
1Aセメスター(10月〜1月)
夏休みが終わって10月になると、この頃にはもう、ウェイはウェイウェイしまくってるし、ドロップアウトする人間もいるし、みんなそれぞれの人生を生き始めます。理系はそれでも授業が忙しいんですが…
微積分・線形代数
だいたい先述した通りです。ちょっと難しくなってきますが、牛腸先生のプリントやりましょう。牛腸先生のプリントも結構手応えあるものになっていきます。牛腸プリントやるだけで優上でした。
基礎実験
Aセメの山ですね。Aセメに ALESS とった人は実験との両立がキツくて結構死にます。
実験は化学と物理から選択しますが、化学をAセメに取ることをおすすめします。化学の方が全体的にゆるくて楽です。このとき選択しなかった方を、半分のボリュームで2年生の時に履修します。2年生で物理実験をやってみて「これ1年の時とったら死んでたな」と思いました。
化学は優秀なシケプリが存在しますが、教員もシケプリの存在を知っているので、考察は独自性を高めていきましょうね。ネットで色々調べれば、色々出てきますよ。考察を鬼のように書いて埋めるだけで99点取れたので、皆さんも頑張ってください。
電磁気学
ひたすらMaxwell方程式です。正直これも、苑田チルドレンとかは余裕です。↓の本がかなり良かった記憶。これ読むだけで優上でした。
構造化学
量子化学をやります。シュレディンガー方程式たてて、解いて。 みたいな。ビビることないです。計算地獄になりがちですが、原理自体はそこまで難しくないので、頑張りましょう。2年生になるとこれの続きとして「物性化学」という講義を履修しますが、こっちの方が簡単だったりします。
これが「神教科書」 なんて呼ばれてます。実際神でした。
また、この辺から大学生活も力の抜きどころが分かってくると思いますから、是非とりたい講義をとってみることをオススメします。
春休み
長い長い春休みです。僕は開放感のあまり、ずーーーっと遊んでたような気がします。
てな感じで、東大生活を中心に、ざっと1年間おさらいしてみました。なんだかんだ色々大変ですが、東大に入ったことは1ミリも後悔していませんし、むしろ「東大生である」ということはメリットだらけです。
今は休学しようか悩んでるんですけどね。
コメント返信
2年生の振り返りも書いていただけたら嬉しいです!