現在東京大学理科I類2年です。僕は東大を一浪で合格しています。詳しい話はこちらの記事をザーッと読んでいただければ理解していただけるかと思っております。
この記事では、浪人した時の「予備校選び」について、自分の経験をもとに書いてみようと思っています。
僕が在籍していた予備校・コース、使用していた予備校
まず前提として、僕が浪人時代にどんな予備校に通っていたかを書いていきます。
- 浪人4月〜8月まで: 河合塾仙台校トップレベル東大理類コース
- 9月〜2月まで: 河合塾本郷校プレミアム東大理類コース
その他、講習などで使用していたやつがこちら。
- 夏期講習: 駿台上本町校(エクストラ数学)
- 冬季直前講習: 河合塾麹町校(慶應医学部数学)、河合塾新宿校(漢文のやつ)
- 自習によく使ってた: 河合塾新宿校
東京の河合塾は結構たくさんあるので、本郷校の生徒でも新宿で自習してるとかよくあった気がします。
河合?駿台?
一番悩ましいところですよね。
東大だったら3/10に合否が決まって、残念ながら不合格で浪人されるという方は予備校選びをする。そこで最初の大きな選択となるのが河合塾か駿台か、みたいな感じですよね。
僕もネット上に飛び交う様々な情報に踊らされながら、そこそこ悩んでいたのを覚えています。
ぶっちゃけ受かればなんでもOK! なんですが、そんな話は誰も期待してないでしょうし、僕が当時感じていたことや、経験してみて実際どうだったかを書いていきますね。偏見だらけかもしれませんが、そこんとこよろしくです。
あ、申し訳ないんですが東大コース以外全然詳しくないので分からないです。先に言っときますね。
河合塾(本郷プレミアムコース以外)の特徴
授業が基本的に90分
授業時間が90分です。まぁ慣れればどうってことないんですが。
90分集中するのがツラいっていう人にはあまりオススメできませんね。
テキストは基礎的な内容の確認問題が中心
テキストは結構基本的な、いわゆる良問が載っています。
「この問題できなきゃ落ちるよね、君たちできないから落ちたんだよね」と優しく語りかけてくれるような問題がたくさん載っています。
やって損はないテキストの質だと思います。
基本的に問題が中心になるので、「一通り理解している」前提での、問題の解説を中心とした授業になると思います。ここは先生によりますが。
良くも悪くも特徴がない
河合塾のテキストは基本的に何人もの講師が作成に関わっているので、講師の個性が消えていて、特徴のないフラットな雰囲気になっています。
誰にでも合うというメリットはあるのですが、駿台とか「大学への数学」みたいな、個性的なテイストが好きな方にはあまり向かないかもしれません。
座席が自由
自分の気分で座席を選べます。
僕は好きな先生の時は、前から3番目くらいの場所をとって、あとは後ろの方にいました。こんな感じで、授業ごとに、その日の気分ごとに席を自由に決められるのは魅力ですね。座席が自由なので、「もぐり」ができるのはある意味魅力ですね。
週1回のホームルーム
模試の返却とか、事務連絡です。
駿台の特徴
授業は50分
駿台は基本的に50分授業です。
高校の授業と時間があまり変わらないので、集中力が適度に保たれて、リフレッシュもしやすいですね。
もちろん授業時間が短い分、一日の授業数が増えます。
講師ごとの個性が出やすい(気がする)
聞いた話ですが、確か駿台は模試の解説も基本的に一人の講師が担当するんでしたっけ?確か。
て感じで、河合塾とは違って一人の講師の裁量権が大きいので、授業にもテキストにも講師の個性がよく出ている印象です。
これも良くも悪くもはたらくと思っていて、自分が合う講師の授業はとても効率がいいのですが、逆の場合が最悪です。
また、言葉遣いとかの講師のクセがうつりがちです。要するに、いわゆる「信者」になれます。
いわゆる「有名な講師」が多め
駿台は、受験界隈では有名人的な扱いをされる講師が多い印象です。河合塾にもローカル単位では有名な講師がいますが、駿台と河合塾を比較してみると、どうしても駿台の講師の方が名前に華がある印象です。
これがメリットなのかどうかは知りませんが、まぁ、特徴ではありますね。
座席が指定席
クラスでぼっちになることを防げますね。指定席なので、授業サボったら一瞬でバレそうですね。
毎朝ホームルーム
めんどくさそう。
結論、なんかどっちでもいい気はする
ここまで形式的に河合と駿台を比較してみましたが、結局どっちでもいい気がします。ほげほげの河合とか、ふがふがの駿台、とか言われてますが、ぶっちゃけ変わんないです。
あくまでそんなの一般論の話で、あなた個人の話ではないのでね。
どの校舎でも、どっちの予備校でも、遊んでいる人はいるし、勉強を頑張っている人もいます。
自分の目で実際に雰囲気とかテキストとかを見せてもらって、よく考えた上で自分に合う方を選べばいいと思います。
河合塾の東大対策コースのレベルについて
さて、ここからは河合塾の話をしていきますね。
まず、河合塾のカリキュラムには「基礎シリーズ(夏まで)」「完成シリーズ(冬まで)」「実践シリーズ(直前期)」の3つの時期区分があります。実践シリーズはあっという間に終わるのでどうでもいい、ということで基本的には「基礎シリ」と「完シリ」がメインになります。
名前の通り、基礎シリでは基礎固め、完シリでは実力の完成を目指しています。
そして、河合塾の東大理系対策のコースには、全部で4つの種類があります。レベルの低い方から順に次のような感じ。
- トップレベル東大理類コース
- トップレベル東大理類コースPlus
- ハイパー東大理類コース
- プレミアム東大理類コース
僕が夏まで在籍していた「トップレベル東大理類コース」は、レベルとしては一番下のクラスになります(僕が当時在籍していた仙台校では一番上のコースで、これより上があることすら知りませんでした)
秋からは一番上のプレミアム東大理類(通称『プレ理』)に在籍していました。
ということで、それぞれの特徴を書いていきます。(正直知らない部分も多いのですが、申し訳ありません)
トップレベル東大理類コースの特徴
平均的に在籍者の3割が受かる、なんて言われていますね。
僕の年の仙台校のトップレベルは、最後まで在籍していた人は7割くらい受かった印象です(かなりの人数がドロップアウトしています)
テキストは全科目「Tテキスト」というものを使用します。「英語表現T」とか「数学①T」とかあった気がする。文系科目のTテキストは適度なレベルでいい感じです。理系科目のTテキストは、(少なくとも基礎シリは)あまり難しい印象はなかったです。
だいたい週18コマくらいで、割と授業についていくだけでいっぱいいっぱいです(どのコースでもそう)
僕はこの通常授業+「医系小論文」も受けていました。要領が良ければ時間に余裕を作れます。
トップレベル東大理類コースPlusの特徴
基本的にトップレベル東大理類コースと同じで、テストゼミみたいなやつがついてるだけらしいです。
ハイパー東大理類コースの特徴
平均的に受講者の7割が受かると言われています。
基本的に他のコースは全部必須受講で授業カリキュラムを組むのですが、ハイパー東大理類だけ違います。数学と理科だけは必修ですが、他の科目は全部受講するかしないかを自分で決めることができます。そのため、数学と理科以外を取らない場合は時間割がスッカスカになり、予備校費用もほとんどかかりません。
自分で勉強することができて、文系科目は授業を受ける必要なんてないと感じている人にはおすすめです。
テキストは文系科目は多分Tテキスト、理系科目は「ハイパー専用テキスト」を使用します。数学については、ハイパー専用の基本事項集がもらえます。ごめんあとは知りません。ハイパーの人は自分のペースで勉強できる人が多かった印象です。
プレミアム東大理類コースの特徴
ここから、僕が完成シリーズ以降在籍していた、プレミアム東大理類コースの説明をします。プレミアム東大理類コースは河合塾本郷校にしかありません。周りの受講生は結構エグいです。お前らなんで落ちたんや…って言いたくなる感じでした。
文系科目は他のコースと同じで、テキストはTテキストを使用します。
(当時の話)物理は苑田先生がカリキュラム完全無視の授業を始める
物理は教材に「ハイパー東大物理」を使用しますが、講師があの某グラサン講師の苑田さんです。(少なくとも2017時点ではそうでした)
そのため、授業は完全に彼のフィールドになります。基本事項から数学的に丁寧にアプローチしてくれるので(ついていければ)それだけで学力アップです。
授業の内容を理解すれば、それだけで東大は受かる。カリキュラムなんて関係ねぇと言わんばかりに、平気で5時間くらいぶっ続けで授業します。彼の前ではチャイムは無意味。
それでも間に合わないので、月に1回くらい、プレ理の生徒は日曜日に集められて補講を受けます。朝の9時ごろから、夕方6時頃まで、ずーーっと物理です。最後の方には苑田先生も疲れて計算できなくなってしまいます。
この直前の補講は受験本番の数日前まで続きます。そうです、1月までに終わるはずのカリキュラムが、苑田先生の場合は2月末に終わることになるのです。(その分かなーり濃い時間を過ごせるのですが)
通常の授業テキストの他に、「自習用問題集」と「物理 基礎理論」というテキストがもらえます。「物理 基礎理論」は結構読んでて面白かった。東大オープンの後ろの方に書いてある解説が全範囲なされている、みたいな雰囲気だったはずです。
化学はSEG講師が担当
化学。テキストは「ハイパー東大化学」を使用しますが、講師は河合塾講師ではなく、SEGという理数専門塾から派遣されてきます。一年間かけて、全分野をじっくり扱っていきます。後半はテストゼミになります。75分で、東大っぽい問題を解きまくります。
物理と数学がかなりクセが強い分、化学は穏やかです(人間としてクセが強かったですが)
数学のテキストはもはや河合塾のものではない
決定的に他のコースと違うのは、数学です。テキストは首都圏で有名な理数にやたら強い塾、SEGが監修している「プレミアム東大理類数学」というものを扱い、授業もSEGの講師が行います。
そのせいで、かなりクセが強い、河合塾っぽくない雰囲気です
プレミアム生は基本的に河合塾の講習を受けず、SEGの講習を受けることになります。数学と化学は。
基礎シリーズでは多項式近似みたいな大学数学にも足を突っ込みます。テーマごとにかなり深い考察ができそうなネタとか、かなり難しめの問題を解くことになります。
完成シリーズはテストゼミと講義が多分交互に行われるはずです。月刊大学への数学を書いてる先生だったので、授業で出てきたネタが月刊大数で復習できたり、月刊大数に載ってる超内輪ネタが理解できたりします。あとフィボナッチ数列にめっちゃくちゃ詳しくなれます。(フィボナッチ数列について2週間くらい授業受けさせられたような思い出が)
テキストの問題量はTテキストより少ないのですが、1問1問がクッソ重いです。
通常のテキストの他に、なんか分厚い微積分のための本みたいな奴とかもらえた気がしますが、書いてあることが結構難解で、しかもなぜか途中から手書きになるという。これはこれでよかったんだけどね。一般人は明らかにキャパオーバーです。
最後に
ここまで僕が在籍していたコースを中心に、僕の予備校に関する知識を色々書いてきましたが、結局どのコースでも受かる奴は受かるし、落ちる奴は落ちます。どうせ1年なんだし、死ぬほど頑張ってみてくださいよ。
自分のスタイルに合うコースを選ぶ参考になれれば嬉しいです。
コメント返信
はじめまして。
「一浪して東大に〜」の記事読ませていただきました。かなり刺激を受けました。
一つどうしても気になる点があるのですが、本番の開示は各教科どれくらいだったのでしょうか?
本番の開示点数、そういえば言ってなかったかもしれません。。もう1年以上前でデータも残っていないので、覚えている範囲でよろしければ…
国語30前後
数学100前後
英語60前後
物理50前後
化学50前後
合計290くらい
センター込みで390点台だったと記憶しています。確か理三にぎり受からなかったくらいだと…
ありがとうございます。参考になりました。
もう一つ質問があります(この記事とはあまり関係がないです すみません、、)。
東大に入ったらとある音楽の制作事務所のアシスタントを一年ほどやりたいと思っていて、そのために休学することも視野に入れているのですが、実際にこのような理由で休学するという方は大学にはどれくらいいるのでしょうか?結構レアケースなんでしょうか?
面白そうですね!
うーん、東大で僕と同学年で休学しているような人は、僕の周りではいませんね…(あまり交友関係が広くないので分からないですが)
それでも、最近は働きたいみたいな理由で休学する人は少なくないように思います。東大でなければ、僕の周りは休学している人多いんですけどね…
もちろんレアケースであるのは間違い無いです。
ありがとうございますー!参考になりました。
プレミアムコースのテキストはどのくらいのレベルなのですか??
例えば化学で言えば新演習、数学で言えば新数演なしでも東大の入試に十分対応できますか??
正直なところ、あまり覚えていないというのが本音なのですが、当時の感覚を思い出しながら書いてみます。
化学についてはそこまで難しくなかったような気がします(普通に新演習程度の難易度はありますが)。難問というより、基礎の確認がしっかりできる良問の印象が強かったです。個人的には。
いわゆる”難しい”とは違うと思うのですが、まぁ東大入試くらいかなぁという印象です。
数学は全然違うので、もうなんとも言えないですね…そもそも入試にでるかどうかという観点では選ばれていないような気がします。入試云々というより、数学的に深められるようなネタが問題になっていたような気がします。テキストの問題自体は非常にレベル高いです。新数演よりも難しい気がしますが…
このレベルができるということは当然その下の基礎がしっかりしているということですから、入試には十分対応できるのではないでしょうか。
東大志望の高2生です。
数学はすでに3まで終え、東大の過去問でも半分程度は平均して取れるようになりましたが、物理が初学で学校の授業でも履修していません。
そこで、来年あたりから予備校に通い、苑田先生の授業を受けようとおもっているのですが、初学者にはきついでしょうか。調べたところ、数学の微積が得意な人なら、初学者でも十分についていけるという情報も見つけたのですが、どうなのでしょうか。また、もしついていけないのであれば、どのレベルまでを自分でやるべきでしょうか。
質問が多くなりすみません。ご回答よろしくお願いします。
苑田先生の授業が初学者にはきついかどうか、という質問ですが、結論からいうと一概には答えられないです。以下、なるべく参考になれるように色々書いてみます。
まず、「数学の微積が得意な人なら、初学者でも十分についていける」という情報についてですが、これは半分合ってて半分間違っているような情報でして。というのも、苑田先生がよく「数式は言葉だ」とおっしゃるように、「物理を理解するための微積分ができる」というのは「数学の微積分の問題が解ける」というより「微積分という計算処理の意味を数式を通して理解できる」ということを指しているんですね。
ですから、数3の微積分が得意でなくとも、複雑な関数の原始関数が出せなくとも、物理ができる人間もいるし、その逆も然りなわけです。
東大の過去問でも半分程度は平均して取れるという話なので、かなりの実力がついていらっしゃるのだと思います。数学の勉強を通して自然科学の勉強についてはある程度要領を得ているのではないかと思うので、ぜひ苑田先生の授業を実際に受けてみてはいかがでしょうか。
正直、初学者だろうがある程度かじった人間だろうが、苑田先生は基本的に最初から最後まで全て説明してくれる(実際、通年の授業の初回は「物理とは何か」「微積分とは何か」みたいな話から始まるはずです)ので、しっかり復習して、その週のうちに授業内容を理解する「根気」と「時間の余裕」さえあれば誰でもついていけると思っています。
また何かありましたら連絡ください。
自分で勉強したいならこちらに僕が使っていた参考書が書いてありますのでどうぞ → https://blog.satoooh.com/entry/592/
後期からプレミアムということなのですが、サトゥーさんは微積の物理を以前からやっていたのでしょうか?また、後期からプレミアムでついていけるものなのですか?
基本的な概念自体は以前から習得していたと思います。自分の場合、普通に物理が理解できなくて微積分を使って解析的にアプローチしてはじめて理解できたので。。。
後期からプレミアムは基本的にめちゃくちゃ大変です。(特に物理で苦戦しそうです)
数学は自分で普段からハイレベルな問題はこなしておいて、物理は力学と熱力学程度は完璧にしておきたいですね。後期は扱わず、前提にして進むので。
「この人達が前期にやったことを自分はやってないんだ」という焦りもあり、なんとか必死に食らいついた感じです。
浪人生なのですが前期は一切河合塾受講しなくても後期からプレミアムコースに入ることはできるのでしょうか?
その場合夏の認定テストなどがあるのでしょうか?
この辺りの最新の情報については、自分は河合塾の人間ではなく、知らないので河合塾の方に直接確認していただけると助かります。自分は前期も一応河合塾には所属しておりました。(認定テストはありませんでした)
下らない単なる質問で申し訳ないのですが苑田先生はどれくらい延長されてたのですか?少し気になります…
ごめんなさい、そもそも彼の授業がカリキュラム上で何時間だったかすら覚えていない(延長するのが当たり前だったので終わる時間を気にしてなかった)ので、どれくらい延長していたかという疑問には答えられないのですが、延長するのが当たり前という感覚になってしまう程度には延長していましたww
毎週の延長と2ヶ月に一回くらい丸一日の補講がありましたね。