大学入試 数学チートシート〜指数・対数関数で遊びたい〜

サトゥー

こんにちは。サトゥーと申します。

今日は、以前からリクエストのあった「指数関数・対数関数」というテーマについて書いていこうと思っています。

出来れば時間に余裕があるとき指数対数のまとめも見たいです!

はじめに

まずはじめに述べておきたいのですが、正直何を書けばいいのかピンときていません。
というのも、高校で習う「三角・指数・対数」の関数って、かなりそれ自体について考えるという機会が少なくって(特に理系)。
みなさんが靴下を当たり前に履き、その構造や組成について考えることが無いように、理系にとっての指数・対数関数は当たり前のように使うツールの印象が非常に強く、そもそも高校数学で何をやったのかをあまり覚えていません(ごめんね)。

そんな僕が、曖昧な記憶と家庭教師の経験から書く記事であることをご理解の上、以下読み進めてみてください。

指数関数とは何か

まずは、指数関数とはなんなのかを簡単におさらいしてみます。

定義

指数関数とは次のように定義される関数のことを言います。

$$ y = a^x $$
ただし、 \( a > 0, a \neq 1\)

これは定義なので、「うーんなんだこれ」とかウンウン悩むところではなく、「そんなもんなんだ〜」と受け入れてみてください。

ついでに押さえておいて欲しいのですが、この \(a\) のことを「(てい)」と呼びます。

指数関数のグラフ

値をいくつかプロットしてみると分かりますが、指数関数は \(x\) の増加に対して、 \(y\) がとんでもない程に増加します。

\(y = 2^x\) のグラフ

画像では \(y =2^x\) (赤)と \(y=2x\) (青点線)のグラフを比較しています。 \(x\) が大きくなると、赤いグラフがアホみたいにでっかくなっていることを理解いただけると思います。

こういう爆発的な増加をよく「指数関数的な増加」と呼んだりしますね。自然界にはよくある増加パターンの一つです。(ちなみにこのような、常に右肩上がりの関数を一般的に「単調増加関数」なんて言ったりします)

指数関数のグラフは一般的に2つの形に分けられます。
一つは、先に述べた \(y=2^x\) のような、右肩上がりに爆発的に増加する関数。
もう一つは、下の画像の \(y=(\frac{1}{2})^x\) のような、先のグラフを \(y\) 軸で折り返したような関数。

\(y={(\frac{1}{2})}^x\) のグラフ

このように、爆発的に増加する関数と、爆発的に減少して、0に限りなく近づいていく関数の2つの概形があることを理解してください。

何が違うとグラフの形が違うのか?

それでは、どうしてこのような2パターンのグラフの形が生じるのかを考えてみましょう。

\(y = a^x\) という関数を考えてみます。
先ほど、\(y=2^x\) つまり \(a=2\) の時にはグラフは爆発的に増加していましたね。

この関数の意味を考えると『 \(x\) が1増えるごとに \(y\) を2倍していきますよ』と解釈することができますね。2倍はまさしく増加を意味しています。

一方で、減少関数であった \(y=(\frac{1}{2})^x\) つまり \(a = \frac{1}{2}\) では、『 \(x\) が1増えるごとに \(y\) を \(\frac{1}{2}\) 倍していきますよ』と解釈することができます。\(\frac{1}{2}\) 倍というのは半分になっていますから、減少を意味します。

つまり次のように考えられます。

\(y=a^x\) は、『 \(x\) が1増えるごとに \(y\) を \(a\) 倍していきますよ』と解釈できるので、『 \(a\) 倍』が増加になる時に増加関数、減少になる時に減少関数になると言えます。

『 \(a\) 倍』が増加か減少か、この境目は \(a=1\) ですね。ここまで整理して、

ポイント

$a > 1$ のとき、 $y = a^x$ は増加関数
$a < 1$ のとき、 $y = a^x$ は減少関数

となります。(もちろん、 \(y=-a^x\) みたいに先頭にマイナスついたら逆になるからね!)

\(a=1\) の時は、\(y=1\) となって定数関数となります。ということで、指数関数を定義するときは基本的に \(a \neq 1\) とするわけですね。

サトゥー

あ、ちなみに $a$ が負の時はいろいろ面倒なので、少なくとも高校では扱いません。$(-π)^\frac{1}{2}$ とかみたくないでしょ

指数関数の基本ルール

さて、指数関数についての理解もある程度深まってきたことでしょうし、具体的な計算をしていく上でのルールをみていきましょう。

\(a > 0\) 、 \(m,n\) を実数とします。この時、次の指数法則が成り立ちます。

指数法則

  1. $a^m \cdot a^n = a^{m+n}$
  2. $({a^m})^n = a^{mn}$
  3. $a^{-m} = \frac{1}{a^m}$

この辺は一般的な文字のまま考えるよりも、具体例を考えて帰納的に納得する方がいいと思います。例えば、

  1. \begin{align*}
    3^4 \cdot 3^2 = (3 \cdot 3 \cdot 3 \cdot 3) \cdot (3 \cdot 3) = 3^6 = 3^{4+2}
    \end{align*}
  2. \begin{align*}
    ({3^2})^3 = 9^3 = 729 = 3^6 = 3^{2 \cdot 3}
    \end{align*}

とか。3については、1の式から \(a^m \cdot a^{-m} = a^0 = 1\) と言えるので、両辺を \(a^m\) で割れば得られます。

サトゥー

この辺の基本法則は、その都度具体例を考えて「確かに成り立つな」という納得をするクセをつけておくと、ミスがかなり減ります。

よくある問題

さて、この辺さえおさえておけば問題は一通り解けるようになるのかなと思っています。
実際にいくつかありそうなやつを見てみましょうか。

問題1.指数の絡んだ方程式の処理

$125^{2x-3} = 25$ を解け。

はい。指数関数は \(x\) と \(y\) が1対1で対応しているので、\(a^b = a^c\) が成り立つならば \(b = c\) が成り立ちます。逆も成り立ちます。
これが成り立つがゆえにこの問題は次のように「底を揃える」ことで解くことができます。

答え

\(5^{6x-9} = 5^2\) と変形できるので、\(6x-9 = 2\) よって \(x = \frac{11}{6}\)

余談:1対1対応していない関数

本問は指数関数で \(x\) と \(y\) が1対1で対応しているという話をさっきしましたが、これはどういうことか、具体的に少し掘り下げてみましょう。

1対1対応した関数、これは数学の世界で「全単射(全射かつ単射)」なんて呼ばれるのですが、どういうことかというとこんな感じです。

じゃあ、例えば1対1で対応してない関数ってどんな関数でしょうか?

例えばこんなやつ。

\(\sin{a} = \sin{b}\) だからと言って、 \(a = b\) となる訳ではないので、このような関数の場合は注意が必要ですね。

問題2.指数の絡んだ不等式の処理

$125^{2x-3} > 25$ を解け。

今度は不等式の処理です。
やることは同じですが、今回は指数関数が単調に増加(減少)するという性質を利用して、 \(a > 1 (0 < a < 1)\) の時、 \(a^b > a^c\) が成り立つならば \(b > c (b < c)\) が成り立ちます。この性質を利用します。
同様にまずは「底を揃える」ことから。

答え

\(5^{6x-9} > 5^2\) と変形でき、
指数の底5は1より大きいため(or \(y = 5^x\) は単調に増加するため)\(6x-9 > 2\)
よって \(x > \frac{11}{6}\)

問題3. みたことある形に帰着させる

$25^{x+1} + 10 \cdot 5^x – 3 = 0$ を解け。

慣れれば簡単なんですが、指数関数が二次関数の中に入っているいわゆる合成関数ってやつです。慣れてない人にはしんどいので、 \(t = 5^x\) と置換して、みたことある二次方程式の形に帰着させて解きましょう。( \(5^x\) の2次方程式と捉えられれば置換しなくても解けるようになります。)

もうお分かりかと思いますが、指数の世界では「底を揃える」というのがまず大前提の考え方になります。底が揃っていることで様々な法則が適用できるようになるのですね。これは対数でも同様ですので、しっかりおさえておいてください。

答え

左辺 \(= 25 \cdot 5^{2x} + 10 \cdot 5^x -3\) で、これは \(t = 5^x (t > 0)\) とすれば、
\(25 t^2 + 10 t – 3 = (5t + 3)(5t – 1)\) より、\(t = -\frac{3}{5}, \frac{1}{5}\) 。
\(t > 0\) より、\(t = \frac{1}{5}\)
よって \(x = -1\)

サトゥー

置き換えたら範囲を確認することを忘れずに

さて、こんな感じで指数の扱いにある程度慣れてきたところで、次は対数でも考えてみましょう。

対数関数とは何か

対数関数とは次のように定義される関数のことを言います。

$$y = \log_{a} x$$
ただし、\(a > 0, a \neq 1, x > 0\)

\(a\) を「(てい)」、 \(x\) を「真数(しんすう)」と呼びます。

対数の裏には指数が潜んでいる

これ、マジで前提にして欲しいんですが、基本的に対数関数というものは指数関数から定義することができます(歴史的には対数が先らしいけどね!)

そこで、指数関数でよく使う表現である「~乗」という表現を用いて定義を考えてみますと、

\(y = \log_{a} x\) は日本語に翻訳すれば「 \(a\) を \(y\) 乗すれば \(x\) になる」つまり
\(\log_{a} x\) とは「 \(a\) を何乗したら \(x\) になるか」を表す数であると翻訳することができます。
この方が初学者さんには分かりやすいかと思いますので、今回はこれを定義として、困ったときはいつでもここに戻ってくるようにしてください。

定義

$\log_{a} x$ とは「 $a$ を何乗したら $x$ になるか」を表す数である

対数関数のグラフ

先ほど「対数の裏には指数が潜んでいる」と述べましたが、これは対数関数のグラフからもよく分かります。

青が \(\log_{10} x\) のグラフで、 \(y = 10^x, y = x\) のグラフを補足として書いています。
みてわかるかと思いますが、対数関数のグラフと指数関数のグラフは、 \(y = x\) について線対称になっています。
指数の裏には対数が潜む。指数と対数には、こんな関係があるんですね。こういう関係を「逆関数」の関係って呼んだりします。

指数のところで述べたとおり、対数関数も底が 1 の前後でグラフの形が大きく変わります。底が1より大きいと対数も単調増加関数となっていることが分かりますね。これ後々使うのでよろしく。

真数条件

対数関数を扱う上で前提となってくる非常に重要な条件として「真数条件」というものがあります。
一番初めに書いた対数関数の定義を見直してみます。

$$y = \log_{a} x$$
ただし、\(a > 0, a \neq 1, x > 0\)

ここでいう \(x > 0\) が真数条件です。簡単に言ってしまえば「真数は正である」ということです。

これは「対数の裏には指数が潜んでいる」ことから、指数を用いた対数の定義を考えれば当たり前のことで、対数を定義する上で必要な条件であることがわかります。

定義

$\log_{a} x$ とは「 $a$ を何乗したら $x$ になるか」を表す数である

ですから、 \(y = \log_{a} x\) は \(a^y = x\) と書き換えることができます。

ここで、指数関数のグラフをみてみましょう。

ご覧の通り、指数関数 \(y = a^x\) は \(a\) の値によらず、常に正の値を取ることがわかります。
$$a^x > 0$$
これを先ほどの式に当てはめてみると、 \(x\) と \(y\) が逆になっているのでまぎわらしいのですが、\(y = \log_{a} x\) は \(a^y = x\) と書き換え、\(x = a^y > 0\)
つまり \(y = \log_{a} x\) において、\(x > 0\) が言えることがわかると思います。

以降、これは対数の定義に関わる重要な部分ですから、この「真数条件」は常に気にしなければ痛い目にあいます。

真数条件(真数は正である)は、しばしば問題で引っ掛け要素になることが多いので必ずチェックする癖をつけておくこと!

対数関数の基本ルール

さて、対数とは何か、また「真数条件」とは何かについてざっくり触れたところで、対数関数の計算処理における基本的な法則をみていきましょう。覚えるべき最低限の公式は3つです。(他の公式は基本的にこれらから示せます)

基本公式

基本公式

  1. $\log_a {MN} = \log_a M + \log_a N$
  2. $r \log_a M = \log_a {M^r}$

1は「真数の掛け算は全体の足し算に変換できる」と翻訳でき、2は「真数の指数部分は全体の手前に引っ張ってこれる」と翻訳できますね。これが全ての基本となります。

証明はここでは省きますが、「対数の裏には指数が潜んでいる」ことを考えれば、指数関数を利用して示すことが可能です。

「底を揃える」ための底の変換公式

もう一つ、1を使うためには「底を揃える」必要がありますが、この「底を揃える」作業において非常に有効な公式が『底の変換公式』です。

底の変換公式

$$\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$$

この公式を利用して、 \(c\) をうまく設定して「底を揃える」ことで、1番の公式を用いて計算することが可能になります。

よくある問題

さて、指数同様に早速問題を解いてみましょう。この分野は慣れですので、問題をたくさん解いて自分の手を動かしながら、使って慣れていくことが理解の近道になります。

問題1.対数の絡んだ方程式の処理

$\log_5 {(2x-3)} = \log_{25} 3$ を解け。

対数関数も \(x\) と \(y\) が1対1で対応しているので、 \(\log_a b = \log_a c\) が成り立つならば \(b = c\) が成り立ちます。逆も成り立ちます。
これが成り立つがゆえにこの問題は次のように「底を揃える」ことで解くことができます。

サトゥー

真数条件忘れんなよ!

答え

真数条件より \(2x-3 > 0\) よって \(x > \frac{3}{2}\)

\begin{align*}
\log_5 {(2x-3)} = \frac{\log_5 3}{\log_5 25} = \frac{1}{2} \log_5 3 = \log_5 {\sqrt{3}}
\end{align*}

と変形できるので、
\(2x-3 = \sqrt{3}\)
よって \(x = \frac{3+\sqrt{3}}{2}\)
これは真数条件を満たすので、これが答え。

問題2.対数の絡んだ不等式の処理

$\log_5 {(2x-3)} < \log_{25} 3$ を解け。

今度は不等式の処理です。やることは同じですが、今回は対数関数が単調に増加(減少)するという性質を利用して、 \(a > 1 (0 < a < 1)\) の時、 \(\log_a b > \log_a c\) が成り立つならば \(b > c (b < c)\) が成り立ちます。この性質を利用します。
同様にまずは「底を揃える」ことから。真数条件忘れずに!

答え

真数条件より \(2x-3 > 0\) よって \(x > \frac{3}{2}\)
\(\log_5 {(2x-3)} < \log_5 {\sqrt{3}}\) と変形できるので、
\(2x-3 < \sqrt{3}\)
よって \(x < \frac{3+\sqrt{3}}{2}\)
これと真数条件より、\(\frac{3}{2} < x < \frac{3+\sqrt{3}}{2}\)

問題3.見たことある形に帰着

$y = (\log_3 x)(\log_9 {\frac{27}{x}})$ の取りうる値の範囲を求めよ。

これも指数関数と同様。今回なら \(\log_3 x = t\) と置換しましょう。真数条件と範囲の確認を忘れずに。

答え

真数条件より \(x > 0 , \frac{27}{x} > 0\) よって \(x > 0\)

\begin{align*}
y = (\log_3 x) {\frac{\log_3 \frac{27}{x}}{\log_3 9}} = (\log_3 x)  \frac{1}{2}(\log_3 27 – \log_3 x) = – \frac{1}{2} {(\log_3 x)}^2 + \frac{3}{2} {\log_3 x}
\end{align*}

ここで、\(\log_3 x = t\) とすれば、 \(t\) は全ての実数値をとり、
\begin{align*}
y = -\frac{1}{2} t^2 + \frac{3}{2} t = – \frac{1}{2} {(t – \frac{3}{2})}^2 + \frac{3}{8}
\end{align*}

より、
これは軸 \(t = \frac{3}{2}\) で上に凸の放物線であるから、求める範囲は \(y \leq \frac{3}{8}\)

サトゥー

さてさて、こんな感じでいいかな。

基本的な事項は一通りさらえたのではないかと。

底を揃えること、それぞれの基本法則を正しく適用することを意識すれば、指数対数関数の分野で悩むことはあまりないと思います。
何かお役に立てることができれば幸いです。それでは。

この記事を書いた人

サトゥー

東大学際情報学府M1。情報科学と教養の海に溺れています。面白いことをやるのがすきです。