阪大理系数学 2015 第2問の解説をしてみます。
実数 $x, y$ が$ |x| \leq 1, |y| \leq 1$ を満たすとき、不等式
\begin{align*}
0 \leq x^2 + y^2 – 2x^2y^2 +2xy \sqrt{1-x^2} \sqrt{1-y^2} \leq 1
\end{align*}が成り立つことを示せ。
2015 阪大理系
解いてみた感想
解けた人は一瞬で解けたと思いますが、解けなかった人は苦戦したのではないでしょうか。
整理しちゃえばどうってことない問題なのですが、楽をする上でかなり発想が重要になる問題なので、ここで紹介させていただきました。
試験会場で解き切るのは意外と難易度高いと思います。
要するに、「置き換えで楽をしよう」という発想があるか
本問についてはこれに尽きます。
結論を言ってしまえば、$\sin{}$ もしくは $\cos{}$ で置換すれば終わりですね。式がとっても綺麗な形になって、変形していけば示せます。
置き換えて楽をするのは鉄則!
さてさて、「置き換えてみよう」という目線を持って改めて式を見てみると、
0 \leq x^2 + y^2 – 2x^2y^2 +2xy \sqrt{1-x^2} \sqrt{1-y^2} \leq 1
\end{align*}
ほら、これ完全に $\sin{},\cos{}$ の置換をして欲しそうだよね。
最悪気づかなくてもなんとかなる(ゴリ押し)
ちなみに僕は受験生当時、解いた時にはsinの置換に気づくことができませんでした。で、どうしたかというと、この式が「$x,y$ の対称式」であるということに着目して、
u=x+y, v=xy
\end{align*}
と置いて頑張りました。(そこまでキツくはなかった記憶)
対称式は、基本対称式で表すことで式変形がしやすくなることが多い。(実数条件の確認を忘れないこと!)
解答例
では回答を書いてみようと思います。
条件 $|x| \leq 1, |y| \leq 1$ より
x = \cos{\theta}, y = \cos{\phi}, (0 \leq \theta \leq \pi, 0 \leq \phi \leq \pi)
\end{align*}
とおけ、 $\sqrt{1-x^2} \geq 0$ , $\sqrt{1 – y^2} \geq 0$ に注意すれば、
& x^2 + y^2 – 2x^2y^2 +2xy \sqrt{1-x^2} \sqrt{1-y^2} \\
& = \cos^2{\theta} + \cos^2{\phi} – 2 \cos^2{\theta} \cos^2{\phi} + 2\cos{\theta} \cos{\phi} \sin{\theta} \sin{\phi} \\
& = \cos^2{\theta} (1 – \cos^2{\phi}) + \cos^2{\phi} ( 1 – \cos^2{\theta}) + 2\cos{\theta} \cos{\phi} \sin{\theta} \sin{\phi} \\
& = \cos^2{\theta} \sin^2{\phi} + \cos^2{\phi} \sin^2{\theta} + 2\cos{\theta} \cos{\phi} \sin{\theta} \sin{\phi} \\
& = (\cos{\theta} \sin{\phi} + \cos{\phi} \sin{\theta})^2 \\
& = \sin^2{(\theta + \phi)}
\end{align*}
よって、 $ -1 \leq \sin{(\theta + \phi)} \leq 1$ なので、 $ 0 \leq \sin^2{(\theta + \phi)} \leq 1$
0 \leq x^2 + y^2 – 2x^2y^2 +2xy \sqrt{1-x^2} \sqrt{1-y^2} \leq 1
\end{align*}
不安になりながらも式変形して、 $\cos^2{\theta} \sin^2{\phi}$ $+ \cos^2{\phi} \sin^2{\theta}$ $+ 2\cos{\theta} \cos{\phi} \sin{\theta} \sin{\phi} $ あたりで勝ちを確信するイメージですね