Scrapbox(scrapbox.io) というツールを脳の拡張的な意味合いで本格的に活用しているので、その意味合いと方法についてまとめてみます。
Scrapbox について
Scrapboxとは、Nota, Inc.が開発している、軽快な書き心地と「書きながら考える」という使い方が斬新なオンラインのメモツールです。
Evernote, Notion, esa.io, Typora, Obsidian, iAWriterなど、ここ数年に渡っていろいろなメモツールを利用してきましたが、現状はScrapboxに落ち着いています。
自分の考えるScrapboxの主な特徴はこんな感じ。
動作が軽快: オンラインツール特有のもっさり感が一切ありません。それでいてリアルタイムの同時編集にも対応しているため、非常に使用体験が良いです。Notionも個人的にめちゃくちゃ好きですが、動作のもっさり感がどうしても苦手で…
カスタマイズ性が高い: ScrapboxにはUserCSS, UserScriptという概念があり、特定のページにCSS, JavaScriptを書くことでデザインや機能の拡張が可能となっています。比較的ギークな界隈に好かれているツールという印象があるため、既存のカスタマイズの中にも有用なものが多く、最低限の知識さえあればコピペするだけでもいい感じに活用できます。→ 例えば Scrapboxカスタマイズコレクション とか
文書間に階層構造がない: 一般的な文書管理ツールはカテゴリごとの階層構造などがあるのが基本ですが、「文章を書くこと」と「文書を整理すること」は本質的に異なる作業であり、Scrapboxは基本的に前者に特化した設計になっています。「階層構造がなくて不便ではないのか」と思われがちですが、リンク記法を用いてページ間にどんどんリンクを張ることで、文書へのアクセシビリティにはそこまで困りません。むしろ整理された文書を書く必要がないため、「雑に書きながら考える」ことができる恩恵のほうが大きいです。書くことで思考が前に進むことって多いですし。
「第二の脳」をオンライン上に持つ意味
Scrapboxを「第二の脳」として「オンライン上に」持っていることの意味を整理してみます。
思考の痕跡を検索・参照可能な形で残せる: 昔考えていたことや、途中まで言語化して諦めていたことを、後から検索・参照可能な形で残すことが出来ます。自分の頭の中から一度忘れても、あとではっきりと思い出すことが可能になり、頭をクリアにして、考えるべきことに集中することが出来ます。「忘れるためにメモをする」「Your Brain is for Intuiting and Creating, Not for Storage」ですね。
知的生産のプロセスを公開するとイイことがたくさんある: これは自分の実体験でもあり、多くの人に言われている主張でもありますが、知的生産のプロセスを公開するとイイことがたくさんあります。例えば…
- 間違いを(勝手に)検証・訂正してくれる
- 補足を(勝手に)投げてくれる
- 自分の興味・関心・人となりを(勝手に)知ってもらえる
- → イベントなどに呼ばれる
- PVやシェアなどの読者の反応を見れば、どのような情報に需要があるかを知ることができる
- 簡易的な価値検証ができる(こういうことを考えているけど、どうでしょう?みたいな…)
- (勝手に)他人の役に立ってめちゃくちゃ感謝されることがある
など。
他人の記事の言葉を借りると、”Learning in Public increases your Luck Surface Area“(Moving to Obsidian as a Public Second Brain) とか、”ブログを通じて自分が学習した最大のことは、「自分がお金に変換できない情報やアイデアは、溜め込むよりも無料放出することで(無形の)大きな利益を得られる」ということに尽きる“(fladdict.net blog: 知的生産性のツールとしてのブログ)とか。
え、ブログ・note でよくね?と思われるかもしれませんが、Scrapboxは基本的に「自分のために雑に書くツール」という位置づけだから、例えばこの記事みたいに読み手を意識した書き方なんてしなくてよくて…とにかく気楽に書けるというのは大事なんです。
ブログって読者がつくと、下手にテキトーなこと書けなくなるんですよね。
この記事もScrapboxである程度雑にメモを書いて、言いたいことが形になってからブログ記事としてまとめています。→ Scrapboxで知的生産 – Scrapbox as a Second Brain – satoooh が下書きメモ
オススメScrapbox運用方法: 基本的にPrivate、公開して問題ないメモは全部Publicに複製
最後に自分がやっているオススメのScrapbox運用方法についてまとめます。→ ページ転送UserScriptを活用して、ScrapboxのPrivate Projectで管理しているページをPublic Projectに複製する – satoooh が下書きメモ
自分は普段遣い・編集用のScrapboxプロジェクトとしてPrivateなものを1つ(Aとする)、Aで書いたページのうち、先述したメリットを享受するために公開したいページをまとめたScrapboxプロジェクトとしてPublicなものを1つ(Bとする)用意して運用しています。この記事をご覧のみなさんはAにはアクセスできず、Bにのみアクセスすることが出来ます。
書いた記事を複製して公開するのはコピペだと面倒なので、複製用のUserScriptをA内に記述しています。この複製スクリプトは ページ転送する拡張script – z-bluemountain-theme をほぼ丸々拝借しています。
ちなみに、自分の例では↑の説明のBは https://scrapbox.io/satoooh/ です。いろんなメモが雑に書かれているので暇つぶしに見てみてください。
この構成にすることにより、Scrapboxを「第二の脳」として「オンライン上に」もつ両方のメリットだけを享受しつつ運用することが可能となっているわけですね。
ということで、最近の自分の知的生産のフレームワーク・構成についての話でした。