質問箱でこんな問題が送られてきたので解いてみます。
n を自然数とする。整数 19n+(−1)n−124n−3 のすべてを割り切る素数を求めよ。
86 東工大?
うーん、これ何からやればいいのだろう?というときは
とりあえず何よりも実験
です。まずは n=1 などのカンタンな値を代入して計算し、この整数の挙動を確認していきます。
an=19n+(−1)n−124n−3 とする。
n=1 のとき、 a1=21=3⋅7
n=2 のとき、 a2=329=7⋅47
で、この時点で共通する素因数が 7 しかないことがわかります。
すべての n で成り立つということは、少なくとも n = 1, 2 では成り立つよね(必要条件)
今回のタイトルに必要条件で絞り込むと書きましたが、つまりこういうことです。
必要条件で絞り込む
求める素数は、任意の n に対して an を割り切る素数であるから、少なくとも n=1,2 に対して a1,a2 をそれぞれ割り切る素数である。ということはその候補には 7 しかない。
ここで候補と書いたのは、あくまでこの 7 という値は n=1,2 でしか成り立つことを確認していないからです。この候補 7 が実際に任意の n に対して条件をみたすことを確認する必要があり、これを一般に十分性の確認といいます。
さて、以上の考察を踏まえて、今回は合同式を使って十分性の確認をしてしまおうと思います。
回答例
an=19n+(−1)n−124n−3 とする。
n=1 のとき、 a1=21=3⋅7
n=2 のとき、 a2=329=7⋅47
よって求める素数は 7 以外ありえない。以下この 7 が an を割り切ることを示す。合同式は mod7 として
19n+(−1)n−124n−3≡5n+(−1)n−1⋅23(n−1)⋅2n≡5n+(−1)n−1⋅2n=5n+6n−1⋅2n−1⋅2=5n+12n−1⋅2≡5n+5n−1⋅2=5n−1(5+2)≡0
よって答えは 7 (回答終わり)
以上、こんな感じです。
ポイント
実験をして必要条件から解の候補を絞り、十分性を確認することで解を求める