月刊大学への数学ってどうなの?内容やメリット・注意点

こんなコメントがあったので書いてみます。

春から浪人生です。月刊大数を買おうか悩んでいるのですが、もしよければアドバイスください。。。

月刊大学への数学とは

月刊大学への数学(大数)は、東京出版が出している月刊の数学問題集・参考書であり、1年間を通して高校数学をすべてカバーできるような構成になっています。

難易度ごとにその月のテーマに合った問題がまとめられており、大数の雰囲気が合う人はレベル関係なく誰でもとっつきやすいような、幅広い内容です。

それぞれの問題にA(やさしい)〜D(むずかしい)の難易度、及び解答の目標時間が書かれており、合格のために問題をどの程度の完成度で解ければ良いか分かることが大きな特徴です。

月刊大数の扱う分野

扱う分野は次のようになっています。

4月号基礎固め、数と式
5月号数Ⅱ微積分、2次関数
6月号ベクトル、方程式、極限
7月号座標平面、不等式、微分法
8月号数列、三角・指数・対数関数、積分法(数式)
9月号整数、三角関数と図形、積分法(面積)
10月号場合の数、集合と論証、積分法(体積・弧長)
11月号確率、複素数平面二次曲線
12月号総合演習(数式)
1月号総合演習(図形)
2月号総合演習

※赤字は数Ⅲ内容

月刊大数の主な構成

月刊大数の主な構成は次のようになっています。

基本事項の解説がなされる講義

授業のような形式で、その次のテーマについて基本的な分野を解説していく。

教科書をある程度読んで理解した人であれば、難なくついていける程度の難易度になっており、基本事項の復習としてもコンパクトなサイズに収まっている。

基本の復習にピッタリのスタンダード演習

レベルとしては、講義内容に毛が生えた程度の問題演習であることがほとんど。こちらも自信がない分野の復習として使うと良い。

1日1問の日日の演習

その名の通り、日付ごとに解くべき問題が指定されており、1日1問解いていくスタイルの問題演習。数学ⅡBの内容までなので、文系でも取り組むことができる。

難易度はそこそこで、東大受験生は落としたくない程度の丁度いい問題が収録されている。自分は朝起きた直後、目覚めの20〜30分を利用して解いてました。

添削付き!ハイレベルな学力コンテスト

ある程度数学が得意な人ならこの学力コンテスト(学コン)のためだけでも本書を購入する価値があるはず。毎月6問の問題をB5程度の解答用紙に解いて送る。翌月か翌々月には回答が添削されて戻ってきて、成績優秀者は冊子に名前が掲載される。

問題の難易度はどれも高く、時間をかけてじっくり考えないと解けない問題が多い。どれも考え甲斐のあるもので、やっていて楽しい。

サトゥー

当時小学3年生の数検1級とか持ってた某天才有名児と勝手に競い合ってました。毎回負けてました。

学コン好きにはこんな本もあります。

月刊大数のメリット・デメリット

さて、内容の紹介が終わったので、ここからは簡潔に月刊大数のメリット・デメリットを考えてみます。

月刊大数のメリット・おすすめポイント

問題のボリュームに富んでいる

「とりあえず有益な問題を沢山解きたい」という人にはおすすめ。基本的に最新年度の問題からチョイスされているので、問題を解きながら自分の実力を測ることができる。

コンパクトで本質的な解答解説

解答解説は詳しすぎず、しかしポイントはしっかりおさえたものになっている。コンパクトで本質的な解答解説を読むことで、問題を解くためにどう考えるのが一番良いのかの感覚をやしなうことができる。

大数系の参考書をやっている人はとっつきやすい

一対一対応の演習や、新数学スタンダード演習などの問題集をやっている人は、基本的に同じトーンで書かれているので月刊大数もとっつきやすい。

学コンがとにかく楽しい

数学好きな受験生にとっては、毎月の学コンは退屈な受験生活の楽しみになること間違いなし。実際の受験生と冊子上で切磋琢磨しあえる環境で、モチベーションを高めることができる。

学コンが楽しすぎる人はこの辺りの問題集もおすすめ。

発展的な内容も充実している

物理や化学の分野における数学的な内容もたまに触れており、数学を含む自然科学に興味のある人には非常に面白い内容が詰まっている。ちょっと疲れたときに、インタビュー記事やコラムの部分を読むことで気分転換もできるようになっている。

月刊大数のデメリット・注意点

初学者・教科書の理解が曖昧なレベルには大変

基本事項から解説されているとはいえ、基本的に入試数学のための問題演習の本なので、初学者が月刊大数のペースで高校数学を習得していくのはかなり難しい。

まずは教科書や普段使用している参考書である程度の基礎を固めるとよい。

自分に必要な問題を解くことが大事

問題を毎月すべて解くのはナンセンス。そのタイミングで自分のレベルに合った問題を選び、解くことが大事。

逆に言えば、どの問題が簡単で、どの問題が難しいのかの判断ができる程度のレベルにはなっておきたい。

月刊大数のおすすめの使用方法

以上をふまえて、月刊大数の使用方法をいくつか提案してみます。

初学者は、まずは必要な月から購入して講義・スタンダード演習をしよう

初学者の方は、毎月購入しても消化不良になるだけなので、今の自分に必要な号をネットで取り寄せて購入しましょう。

サトゥー

複素数と二次曲線の復習したいけど、今月号は違うなぁ…

という方でも、amazonなどで去年の該当号を購入すればよいわけです。複素数と二次曲線であれば、11月号ですね。

基本事項が身についたら日日の演習に取り組もう

ある程度基本事項が身についたら、日々の演習に毎日取り組んでみましょう。1日1問という適度な分量が、習慣化にも実力チェックにも役立ちます。標準レベルの問題に毎日触れ、解説を読むことで着実にレベルアップすることができます。

日日の演習レベルの問題を沢山解きたい方は、新数学スタンダード演習などを購入してみると良いでしょう。

数学が好きな人は学コン・宿題で腕試ししよう

数学が好きならぜひ一度は学コンやってみるといいと思います。時間を溶かしすぎないようにだけ注意しましょう。

興味のある方はまずは4月号から!

興味のある方は、まずは難易度低めの4月号から購入してみると良いでしょう。4月号は学コンも手を出しやすいので是非。

コイづミ

春から高2になるものです。いつも記事やツイッターを楽しませていただいています。
ここで質問があるのですが、いつからサトゥーさんは月刊大数に取り組まれていましたか。自分は某県の県立高校の生徒なので、数1Aと数2の一部しか履修していませんが、学校や予備校の学習と並行して大数を利用してみたいです。既習の範囲でしたら、1対1対応が解ける程度の力はあると思うのですが、、、
アドバイスをお願いしたいです。
今後も記事楽しみにしています。

サトゥー

はじめて月刊大数を知ったのは、高1の冬にたまたま書店で手にとってですかね。
それから高2の春に4月号を購入して、そこそこできたので5月号に手を出してみますが、当時は数2の微分も未習だったので手が出ずに詰まってしまいました。しっかり取り組んでいたのは、高3の数ヶ月間と浪人の1年間でしょうかね。
なかなか学校でやってない、教科書すら読んでいない範囲をいきなり大数でやるのは難しいのですが、コイづミさんくらいの履修ペースでしたら4月号は問題なくできると思いますよ。
学校や予備校のペースに合わせて、あくまで問題が足りない時の補助の問題集として使っていくのが良さそうな気がします。


ままこ

こんにちは
さとぅーさんは浪人中、大数の月刊は全巻買われてましたか?
あと増刊とかも買っていて取り組んでいたものがあれば教えて下さい。

サトゥー

おそらくほぼ全巻買っていた気がします。。。(当時は学コンにほぼ毎月応募していたので)
大数関連の本でいうと、新数学演習や新数学スタンダード演習などは結構しっかりやっていました。詳しくはこちらの記事に書いてありますのでご覧いただければと思います。https://blog.satoooh.com/entry/592/


たかやま

高校三年生のものです。学校では数学全範囲が終わりました。私は数学がすごく苦手で、教科書レベルはおさえ、青チャートも解けるという具合なのですが、模試では全くと言っていいほど点数が取れません。そこで7月号から月刊大学への数学を始めようと思っているのですが、私レベルでは付いていけるのか不安です。具体的にどこをやるべきでしょうか?

サトゥー

青チャートが一通り出来るということは、基本的な手法のインプットは完了していると思いますので、あとはそれらの手法をどう運用していくかの訓練が大事になってくると思います。

> 7月号から月刊大学への数学を始めようと思っているのですが、私レベルでは付いていけるのか不安です。具体的にどこをやるべきでしょうか?
まずはスタンダード演習と日日の演習をこなせば十分だと思います(それぞれ1日1問ずつのペースで進めれば十分だと思います)。だんだん余裕が出てきたら他の特集にも手を出してみると良いかもしれません。レベルとしてはスタンダード演習は基礎的な内容ですので、質問者さんでしたら難なくこなせる程度ではないかと考えています。


この記事を書いた人

サトゥー

東大学際情報学府M1。情報科学と教養の海に溺れています。面白いことをやるのがすきです。